新生児の千人に1~2人の確率で生じ、言語発達などに大きな影響が出る先天性難聴。生後間もなく行う「新生児聴覚検査」に公費助成する市町が県内でも増えるなど、早期発見の重要性が知られるようになってきた。国際医療福祉大保健医療学部言語聴覚学科の小渕千絵(おぶちちえ)准教授に子どもの難聴などについて聞いた。

 県の試算によれば、県内で難聴児が産まれるのは年間10人程度。同検査でリファー(再検査)となったら生後3カ月ごろまでに精密検査を受ける。

 小渕准教授によると、同検査を受けず就学時健診で難聴が分かったり、発達障害や言葉の遅れだと思っていたり、リファーになっても保護者の都合で検査や療育を受けていなかったりするケースがある。「難聴に気付くのが遅いと、遅れた分を取り戻すのは大変。早く療育を開始すれば、健聴児と変わらないくらいの言葉やコミュニケーションの発達が期待できる」と、同検査の重要性を訴える。

 難聴の診断を受けたら、補聴器や人工内耳を装用し聞こえを補う。補聴器は聴力が40デシベル前後以上の子どもが対象で、首がすわった3、4カ月から装着できる。人工内耳の手術は聴力が90デシベル以上の重度難聴で、体重8キロ以上になった1歳ごろに受けるのが望ましい。

 しかし「補聴器や人工内耳の装用だけで言語発達が見込めるものではなく、療育が不可欠」と小渕准教授。県ろう学校や同大クリニック言語聴覚センターなどの療育機関で言語聴覚士による療育を受けながら、家庭で意識的なコミュニケーションを取ることによって、音声言語が獲得できるようになる。