漁協、国と和解成立 本格稼動まで意見交換 導水訴訟控訴審

 アユなど那珂川水系の水産資源に悪影響を及ぼす恐れがあるとして、本県と茨城県の漁連・漁協5団体が国に霞ケ浦導水事業の那珂川取水口建設差し止めを求めた住民訴訟控訴審は27日、東京高裁で和解が成立した。国が漁協側との「意見交換の場」を設けることなどを条件に、漁協側が請求を放棄する。2009年の水戸地裁への提訴から約9年。着工から34年がたつ巨大公共事業の是非を問う住民訴訟が終結した。

 この日の口頭弁論で都築政則(つづきまさのり)裁判長は「和解は終着点でなく出発点。双方が率直かつ冷静に意見交換し、納得のいく結論を導くことを希望する」と述べた。

 和解条項では、国は事業が本格稼働するまで年1回、原則7月に意見交換の場を設けることを規定。アユの稚魚などが取水口に吸い込まれるのを防ぐため、10~1月は那珂川からの夜間取水を停止することや、霞ケ浦から那珂川への少量の試験送水(逆送水)を行い魚類への影響をモニタリングすることも定めた。

 本県の那珂川流域4漁協でつくる県那珂川漁協連合会の佐藤文男(さとうふみお)会長は和解後の記者会見で「長く裁判が続いたが、今後は国とよく相談ができるので和解を前向きに捉えている。最も被害が懸念されるアユについて特によく話し合いたい」と述べた。漁協側の谷萩陽一(やはぎよういち)弁護団長は「漁業への影響を防ぐという訴訟の目的を達成でき、成果があった」と強調した。