「災害本部の電話が鳴りやまない」-。下野新聞社が実施した昨年10月の台風19号に関する県内25市町アンケートで、初動対応時の困難として2番目に回答が多かった項目は「住民からの問い合わせの対応」だった。夜間に同時多発的に発生した河川堤防決壊などの状況把握に追われる中で住民側の不安の声が相次ぎ、混乱に拍車が掛かった自治体は少なくない。

 「電話の数はものすごかった。相手がパニックのようなケースもあり、多種多様な連絡が来る中で市側も混乱し、落ち着いた対応ができなかった面はある」

 佐野市危機管理課の担当者は振り返る。豪雨の影響で昨年10月12日夜に市内を流れる秋山川の堤防が決壊するなど、同市は大きな被害に見舞われた。

 「水が来ているから助けて」「どの道が通れるのか」。同市災害対策本部に市民からの連絡を集約し、20ほどの電話回線で対応したが、問い合わせの数は想像以上だった。担当者は「緊急性の高い情報と、そうでない情報をどう整理するのか、今後の大きな検証項目」と課題を口にした。

 思川の堤防が決壊するなどした鹿沼市も回線増設などで対応。しかし「情報を受けて整理する間もなく次の電話を受けるような状態だった」。

 「気象や土砂災害に関する警報が10分単位で刻々と変化していた」。那須塩原市は、避難情報の発令や避難所開設などの調整に頭を悩ませる中、住民からの不安の声に対応する余裕がなくなっていったという。担当者は「問い合わせに対して、もっと丁寧に説明できたのではないかという思いがある」と打ち明けた。

 足利市の担当者は「回線数など市側の態勢が十分でなかった面もある」とした上で、現場の職員との連携などを課題に挙げる。「一度通報した市民が、不安で再度同じ内容を通報する重複もあった。庁内の被害情報の集約や現場との連携がより効率的にできれば、負担を減らせるのではないか」と語った。