芥川賞選考会を前に心境を語る千葉さん=10日午後、東京都新宿区

 第162回芥川賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日に開かれるのを前に、「デッドライン」が候補作となった栃木県宇都宮市出身の哲学者千葉雅也(ちばまさや)さん(41)が10日、出版元の新潮社(東京都新宿区)で記者会見した。初の小説で候補入りし「大変光栄に思う」と心境を語った。

 千葉さんは宇都宮高から東京大に進み、同大大学院博士課程を修了した。現在はフランス現代思想を専門に立命館大大学院で准教授を務めている。大阪府在住。

 独自の観点から勉強論を展開した「勉強の哲学」、紀伊國屋じんぶん大賞2013などを受賞した「動きすぎてはいけない」など多数の書籍を刊行している。

 「デッドライン」は大学院で哲学を学ぶ同性愛者の主人公の日常をつづった「青春小説」。「書くことの可能性を広げたい思い」から執筆し、昨年11月に第41回野間文芸新人賞を受賞した。

 芥川賞候補に選ばれたことについて、千葉さんは「社会的影響力のある賞なので、候補になっただけでも話題になり驚いている。これまで哲学分野で出版してきた経験とは全く異質で、新鮮な好奇心も感じている」と話した。

 他の候補者は4人で、古川真人(ふるかわまこと)さんが4回目、高尾長良(たかおながら)さんが3回目、木村友祐(きむらゆうすけ)さんと乗代雄介(のりしろゆうすけ)さんが初めてのノミネート。栃木県出身の芥川賞受賞者は過去にいない。