浸水被害に耐え、実ったイチゴを手にする小林さん=10日午後、足利市川崎町

 台風19号の本県直撃から12日で3カ月となる中、ビニールハウスが浸水被害に遭った足利市奥戸町、イチゴ農家小林大介(こばやしだいすけ)さん(34)が9、10の両日、ようやく今季の初出荷を迎えた。ハウスは高さ1メートル数十センチほど浸水し、苗は全て水に漬かった。葉っぱの泥落としや消毒を繰り返す日々を過ごした。「無心でやれることをやるしかなかった。ほっとした」と胸中を語った。

 畝に広がる葉っぱから、白い小さな花が顔を出す。同市川崎町のビニールハウス。緑色や赤く色づき始めたイチゴがぶら下がっている。予定より2カ月遅れたが、小林さんは「ようやく出荷できた」と安堵(あんど)する。

 就農は2017年。イチゴ農家だった祖父の影響で、子どものころからあこがれがあった。地元で工場勤務をしていた時、「やりたいことをやろう」と決意し、ゼロから出発した。妻と母親らとイチゴを栽培し、3人の子どもを育てている。

 今年は3年目。昨年9月下旬に苗を定植し「手応えはすごく良かった」。しかし同10月12日、台風19号に伴う付近の川の洪水で作付面積21アール、ハウス7棟が全て水に漬かった。「どうしよう、これから」。冠水したハウスを眺めながら途方に暮れたという。

 苗は泥に覆われ、畝は崩れ、ハウス内は泥水でぐしゃぐしゃに。電気系統も故障した。ハウス内が乾き、中に入れたのは2週間後。一株一株、消毒して水をかけ泥を落とす作業を続けた。

 苦労が結実し、今月9日、とちおとめ24パックを初出荷した。10日には28パックを送り出した。「あー、良かった。ほっとした。それくらいしか言葉が出ない」。復旧作業では仲間のイチゴ農家や友人らの手伝いもあり、「自分だけではできなかった」と感謝する。本格化する収穫を前に「どれだけ挽回できるか。採れるだけ採りたい」と話した。