富士、白黒フィルム10月に出荷終了 「残念」栃木県内にも惜しむ声

 富士フイルムが6日発表した白黒フィルム「ネオパン100 アクロス」の10月の出荷終了を惜しむ声が県内でも上がっている。デジタルカメラの台頭で需要が縮小する中、高品質で入手しやすい同社最後の白黒フィルムだっただけに、モノクロ写真にこだわる愛好家や、高校生に写真を教える教員らは「残念。販売を続けてほしかった」と肩を落とす。既に生産は終了しており、販売現場では在庫を求める駆け込み需要も出ている。

 「時代の流れなのだろうが、ついになくなると思うと寂しい」。日光市の写真グループ「銀影会」の五十嵐一二(いがらしかずじ会長(82)は残念がる。会は1974年の発足以来、モノクロ写真にこだわり続けてきた。

 白と黒の世界だからこそ追求できる奥深い表現には、欠かすことができないフィルムだったという。

 アクロスは流通している白黒フィルムの中で最も一般的だった。出荷終了で同社の白黒フィルムは約82年の歴史に幕を下ろすことになり、同社は「継続的な需要の減少で今回の判断に至った」と理解を求めた。

 写真を学ぶ場でも重宝されてきた。足利工業高で写真を生徒に教える小松祥宗(こまつよしむね)教諭(56)は「写真が上達するにつれ、モノクロをやりたいと言う生徒は今も多い」と話す。前任の高校も含め、モノクロ作品で「写真甲子園」などで活躍する生徒も目立ったという。

 小松教諭は、デジタルカメラのモノクロ処理にはない、豊かな階調を表現できるアクロスの品質とともに「撮影、現像は難しいが、全ての工程が成功しないと『求める一枚』にたどり着けないことを学べる」と評価している。