飛躍誓う遅咲き選手 女子バスケットボール・水島沙紀

 鮮烈な代表デビューだった。初招集された昨年7月の女子バスケットボールのアジアカップ。日本代表のシューティングガード水島沙紀(みずしまさき)(トヨタ自動車)が、オーストラリアとの決勝戦で躍動した。

 大一番での先発起用に前半こそ動きが硬かったが、「監督が信じ続けてくれている。何か一つでも頑張りたい」。6点を追う後半に覚醒すると、3点シュート7本を沈めるなど、後半だけでチーム最多の26点をマーク。大会MVP級の活躍で日本の3連覇に貢献し、その名を広く知らしめた。

 異色の経歴を持つ。若松原中から名門・桜花学園高(愛知)に進み、3年時は渡嘉敷来夢(とかしきらむ)(JX−ENEOS)らと高校3冠を獲得。ゴール下に切れ込むドライブのスピードは一級品とされ、早くから類いまれなセンスを発揮した。

 だが、卒業後に選んだのは当時関東大学リーグ2部の東京学芸大。チームメートが実業団に活躍の場を移す中、「教員免許を取るため。バスケ以外の世界も知りたかった」。接客のアルバイトも経験し、「多くの人に支えられて生きている」。人としても成長し、トヨタ自動車に進んだ。

 Wリーグで優勝2回の強豪。毎年のように有望な若手が加わり、チーム内競争も激しい。入団3年目に主力の仲間入りしたが、「必ずスタメンが保証されているわけではない」。危機感を自らの原動力にしている。

 3月の今季プレーオフは準決勝敗退。それでも3位決定戦は1点差での逆転勝利の立役者となった。5点を追う残り1分から1人で6得点。「シンさんへの思いをコートに出した」。今季限りで引退する元WNBAプレーヤー大神雄子(おおがゆうこ)主将の花道をしつらえた。

 今季終了後、再び代表候補に選出された。「東京五輪は年齢的にも最初で最後のチャンス。全力でバスケと向き合い、1年ずつ結果を出していく」。遅咲きのヒロインは2年後、さらなる飛躍を誓う。