バスで都内の自動車関連企業の見学ツアーに出発する子どもたちにあいさつする中尾さん(中央)

 【小山】自動車関連企業の経営に長年携わってきた宮本町3丁目、中尾聡(なかおさとし)さん(58)が社長を退き、育児放棄や貧困状態にある子どもの進学と就労を支援するためのNPO法人を設立した。市内2カ所の子どもの居場所と連携して自動車業界の仕事体験や学習の機会を提供し、将来、子どもが希望する場合は就職を仲介する。福祉以外の“異業種”の取り組みとして関係者の注目を集めている。

 NPO法人「自動車流通市場研究所」として昨年11月に市の認可を受け、中尾さんが理事長に就任した。宮本町3丁目に事務所を構え、2人の常勤スタッフとともに1月から活動を本格化させる。

 中尾さんは中古車競売事業などを手掛けるソウイング(犬塚8丁目)の元社長。ロータリークラブの慈善活動を通して子どもの貧困問題に関心を持ち、市内で子どもの居場所を運営する二つのNPO法人の支援に関わり始めた。

 「僕自身が貧困家庭で育ち、大学を出て社会人になるまでたくさんの人に助けられた。いつか社会に返したいと思っていたんです」。同社が創立30周年を迎えたのを機に退任し、一念発起した。

 人脈のある自動車業界に呼び掛けたところ、県内外計24社の協力を得た。これらの企業で、職場見学会や体験会を開く。参加者に働くことへの関心と意欲を持ってもらい、同業界への就職を目指す場合は、義務教育終了後の進学も支援したい考えだ。活動資金は、関係企業へのコンサルティングや講演事業などで生み出すという。

 12月26日には初めての見学ツアーとして、バスで都内の企業を訪問。17人の小中学生が参加し、名刺交換やオークションの疑似体験、聴覚障害がある社員との交流などを行った。

 市内で子どもの居場所を運営するNPO法人ビリーブの栗本孝雄(くりもとたかお)理事長(62)は「福祉以外の業界でも、支援が必要な子どもたちのことを考えてくれる企業があることに気付いた。中尾さんのような取り組みが他業界にも広まってほしい」と期待している。

 市は新年度から始める第2次子どもの貧困撲滅計画5カ年計画に、同法人による就労支援活動を盛り込む方針。