精緻なししゅう珠玉40点を展示 小山の蜂須さん、親指切断の障害乗り越え製作

 【小山】不慮の事故で負った障害を乗り越え、糸を交差させながら針を刺すクロスステッチ刺しゅうを独学で学んだ城東4丁目、蜂須妙子(はちすたえこ)さん(86)が、立木のたから園現代工芸で作品展を開いている。並ぶのは、精緻な描写の花などよりすぐりの40点。蜂須さんは「最初で最後の展示会。1人でも多くの人に作品を見てもらいたい」と話している。

 蜂須さんは、東京都生まれ。大映東京撮影所で働いていた25歳の頃、本屋で見つけたクロスステッチの本に興味を持ち「独学でやってみようと思った」という。しかし、結婚後は子育てなどの忙しさからいったん製作から遠ざかっていた。

 再開のきっかけは40歳の時。家業のプラスチック加工の手伝いをしていた際、プレス機に利き手の左手を挟まれ親指の第一関節から先を切断。他4本の指も骨折になる大事故だったという。

 自宅で療養生活を送る中で、リハビリを兼ねて再びクロスステッチ刺しゅうの針をを手に取った。左手が思うように動かず苦労したが、「1度やりだしたらやり通さないと気が済まない」と蜂須さん。かつての楽しさを思い出し、次第に夢中になっていた。

 しかし、頸椎(けいつい)を痛めたことで、下を向いて作業するクロスステッチ刺しゅうの作業が困難に。今年の1月に製作活動にピリオドを打った。

 巧みな手業で完成させた数は100点あまり。市内外の手仕事作家らと共に、バックやクッション、壁飾りなど、美しい花が描かれた珠玉の約40点を出品した。

 蜂須さんは「終活の一環で、これまでの作品を見てもらいたい」と来場を呼び掛けている。5月6日まで。午前10時~午後6時(最終日は4時)。(問)同工芸0285・23・6966。