宇都宮市の東武宇都宮駅から南西約300メートルにある「もみじ通り」。営業している店は数えるほどの商店街だったが、8年ほど前から変貌しつつある▼不動産や空間プロデュースなどの事務所を構える塩田大成(しおだたいせい)さん(43)の思いによるところが大きい。家賃の安さや武家屋敷にルーツを持つ界隈(かいわい)の雰囲気にひかれ、他のエリアから移った▼落ち着くと、今度は歩いて行ける範囲に好きなコーヒーが飲めたり、おやつなどが買えたりする店が欲しいと考えだした。県北のカフェに声を掛けて移転が実現してから、ドーナツ店などの新規出店が相次ぎ18店舗に達している▼若い世代が足を運ぶようになったため、近くの築50年の2階建てアパートの空き部屋を改装して、カフェのような雰囲気の民営図書館を7月に開館させた。1階2部屋を活用し、無料で通りの来訪者が滞在でき、地域住民が憩える場とし、「もみじ図書館」と名付けた▼本年度の市まちなみ景観賞に推薦され、大賞を受賞した。開放的な作りで室内からの照明が漏れ、魅力的な夜間景観が創出されたことなどが評価された▼個人的な「ささやかな欲望」で始まったまちづくり。塩田さんは「自分の価値観を持った人それぞれが、自分のことに集中できる場所づくりを目指している」と話す。個性的な人の輪が広がり続けている。