台風19号で被災した佐野市内の夕景をみかも山公園から望む(3枚の写真をつなぐ)=12月下旬、佐野市西浦町、10秒間露光

 万葉集にも歌われた三毳(みかも)山からは佐野市の市街地を一望できる。あかね空に向かい中央に走る県道の先には、台風19号の記録的豪雨で決壊した秋山川の堤防がある。県内各地が甚大な被害に見舞われ、一つ一つのともしびの中にはいまだ多くの住民の労苦が潜む。「令和」の始まりは県民にとって苦難に象徴される年となり、31日に幕を閉じる。

 10月の台風19号は全国各地で猛威を振るった。2015年の関東・東北豪雨に続き、本県に2度目の大雨特別警報が出され、県管理13河川の27カ所が破堤。県内の死者は4人、住家被害は1万3千棟を超えた。地球温暖化など気候変動が進む中、頻発する災害の脅威が身近に迫っていることを改めて思い知らされた。

 茨城県の常磐自動車道で起きたあおり運転殴打事件、大津市の保育園児死傷事故、パリのノートルダム寺院(大聖堂)と那覇市の首里城の火災。19年は、本県にとっても看過できない課題を浮き彫りにした事件、事故も全国で相次いだ。

 県内が喜びに沸く出来事もあった。皇位継承に伴う重要祭祀(さいし)「大嘗祭(だいじょうさい)」で、高根沢町の水田が「悠紀斎田(ゆきさいでん)」に選ばれ、石塚毅男(いしつかたけお)さんが耕作者「大田主(おおたぬし)」を務めた。本県オリジナル品種の米「とちぎの星」にも注目が集まった。

 日本代表が初の8強入りを果たしたラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会では、国学院栃木高出身の田村優(たむらゆう)選手が大活躍、チームの「顔」の一人となった。

 戦後復興の象徴となった1964年から56年。2020年は2度目の東京五輪・パラリンピックを迎える。既に五輪出場を決めた本県勢もいる。平和の祭典に何を重ねるのか。戦後75年となる20年は、一人一人が希望を託す歴史的な一年となる。