地域社会のリーダー育成

 

 自治医科大学は、医療に恵まれないへき地における医療の確保・向上と、地域住民の健康増進を図るという使命を帯びている。「地域医療のみならず地域社会のリーダーとして活躍する医師と、保健医療と福祉に貢献できる看護職を養成しなければなりません。専門職としての使命感、知識、技術を育むとともに、地域が抱えるさまざまな問題について相談相手になれる幅広い教養を身に付けて欲しいと願っています」

 団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、介護・医療費などの社会保障費の急増が懸念される「2025年問題」は目前に迫る。国は在宅医療のさらなる推進を図っていくため、2015年、医師の判断を待たず、手順書により一定の診療の補助を行える高度で専門的な知識と技術を持った看護師を養成する研修制度を創設。その際、同大学の現学長が国の会議の座長を務めたことから、同大学では同年8月、全国に先駆けて「看護師特定行為研修センター」を開設している。

 「昔は看護師が静脈注射を打つこともできませんでした。看護師法では療養上の世話と共に診療の補助として一部の医療行為も認めていますが、現実には療養上の世話に偏っていたきらいがありました」と説明。昨年は「在宅・慢性期領域パッケージ」と「外科術後病棟管理領域パッケージ」などのテーマで研修を行い、今年は4月から新たに「術中麻酔管理領域パッケージ」を開講する予定という。

 「これまで全国のセンターで約1千人が研修していますが、そのうち2割が本学です。北海道から沖縄まで全国から応募があり、修了後には故郷に戻って在宅看護・介護で活躍している人も多いと聞いています」と目を細める。「これは一種の社会改革だと思います」と意義を語り、同センターの取り組みがハードワークで知られる医療現場の「働き方改革」と地域医療の充実につながることを期待している。