もったいない人財を発掘

 

 昨年12月、栃木県の「ものづくり企業技術連携事業」において宇都宮市の「ツカサ精密」と連携し、腹腔(ふくくう)鏡手術用医療器具を開発、市場に投入した。体内にフィルム状の医療材料を留置するための器具で、組織やフィルム材を傷つけないための処理など両社の精密加工技術が生かされた。

 業績面では2020年3月期で売上高30億、10年連続増収、連続黒字を見込むが、将来への布石を怠らない。

 「医療の分野は成長が見込めると言われているが、国内の人口減少は避けられず、いずれ国内市場は縮小していきます。今後も連続黒字を目標にはしますが、利益の額よりも海外も含めた販売力の強化、市場へポジションを広げていくための人材育成に注力します」と語る。

 中小製造業を取り巻く環境においては「大廃業時代の足音が聞こえる」と語る。

 「後継者がいないという理由のほかに、優れた加工技術を持ちながら業績に結び付いておらず、継がせたくない、継ぎたくないという事情があります。これらの会社は品質の面で決して大手企業に引けを取らず、むしろそうした企業を支えてきた製造業大国の担い手であり、廃業するには『もったいない』企業が多い」と感じている。

 「石油や鉱物資源のない日本において、世界に対抗できる唯一の資源は『人財』です。材料を輸入し、加工して付加価値を高めて輸出し、この国は発展してきました。周りを見渡せば、磨けば光るのに『もったいない』働き方をしている人たち、優秀であるのに社内政治が苦手で干されている人たちがいます。こんな人たちが生き生きと個性を発揮して会社の発展に貢献できる。道半ばではありますが、会社をそんな集団にするのが自分の目標であり、そのことに社会的意義を感じています」。この地域の、この国の「もったいない」人財を発掘していく。