「頂上」への基盤づくりを

 

 昨年はチーム成績が低迷する中で厳しいクラブ経営の舵(かじ)取りが求められた。「J3へ降格して予算規模が激減する可能性があるため、来年に向けて計画通りの投資がしたくても思い切れない。改めてサッカービジネスの難しさを痛感した一年です」

 J2復帰を果たした2018年は過去最高の観客動員を達成したが、19年は無料招待を大幅に減らし収益を重視した結果、1試合平均観客動員は約500人減に。収益は減っていないものの、気候や戦績に動員数が左右されることが明確になった。痛感したのは、興業以外で収入の柱を作る必要性だ。「ピッチの芝生の事業化、マーケティング専門の別会社を立ち上げるなど、参考になる他クラブの事例はあります。このクラブを100年存続させるためには新たな収入の道筋について常にアンテナを張っておく必要があります」

 クラブ経営と両輪となるチーム作りについてもやり直しを迫られる一年だった。「集まった選手はプロだからやってくれるという認識では甘かった。規律を順守する。走って闘う。クラブが選手に求めるものを明確にできれば、それが栃木SCの文化や伝統になる。ここまで揺らがないクラブのフィロソフィー作りを進めてきたものの、まだまだ徹底できていません」

 J2クラブの平均予算は年々上昇し、リーグ下位の予算規模となる栃木SCは昨年同様、厳しい戦いを強いられることが予想される。「今から緊張感をもって動いています。手を取り合い、組織で闘う。そうやって最後に残留を掴み取れた経験は必ず今年に生かせると思います」

 将来のJ1への道筋については山登りに例えた。「山登りは頂上を目指すときにベースキャンプを築きます。そこから頂上にアタックし、ダメなら戻って再チャレンジする。目指すべきはJ1昇格プレーオフを狙えるベースキャンプを築くこと。今年はそのための基盤づくりに力を注ぎたいと思っています」