金谷ホテルの伝統と共に

 

 日本初の西洋式リゾートホテル「金谷ホテル」の伝統の技術と味を守る金谷ホテルベーカリー。主力商品の「ロイヤルブレッド」は、金谷ホテルで「パンの神様」と呼ばれたパン職人、川(かわ)津(つ)勝利(かつとし)のレシピに基づく。ずっしりと重量感があり、トーストに最適で、今もホテルの朝食に使われている。「金谷ホテル百年ライスカレー」は、調理場に伝わるレシピ集をもとに復刻再現し、レトルト食品として販売する。

 伝統に裏打ちされつつ、新商品開発にも力を入れてきた。「ロイヤルブレッド」を基礎にした「抹茶大納言」や「チーズロード」をはじめ、食パン、菓子パン、ジャム&スプレッド、クッキー、デザートまで、多彩な商品がそろう。常に購入者の声を聞きながら創り出してきたものだ。「さらに新しい商品に取り組みたい」と今年の目標を語る。

 金谷ホテルの前身の「金谷カテッジイン」として使われた「金谷侍屋敷」を再生し、2015年3月、「金谷ホテル歴史館」をオープンさせた。祖父の金(かな)谷(や)善(ぜん)一郎(いちろう)が開いた「金谷カテッジイン」は、多くの外国人が利用し、探検家イザベラ・バードが宿泊したことでも知られる。私費を投じ、今後、100年持つように改修した。「自分の所有物という意識はありません。日光そして栃木県の財産として残していきたい」

 歴史館に隣接して「カテッジイン・レストラン」がある。歴史ある建物と調和する落ち着いた雰囲気で、金谷ホテルベーカリーのパンと厳選素材を使ったパン料理アラカルトやセットメニューが好評だ。外国人観光客が数多く訪れる。また、店内店舗では各種パン商品を販売し、お土産としても喜ばれている。

 県内外に9店舗を展開し、“本物の味”を届けている。将来に向けた新工場を構想中だ。「観光的な要素を加えた施設にしたいと考えています」。「苦境も与えられた試練として感謝して取り組む」ことを胸に刻み、新時代に乗り出す。