「熟成」で地場産業に貢献 

 

 映像撮影をはじめ、幅広い分野、産業で実用化が進む「ドローン」(小型無人機)。国内での進化の歴史は、2009年創業の「NSi真岡」が歩んできた10年間の道のりと重なる。

 「誰にも知られず『ゼロ』の存在だったドローンが、やがて『1』となり、当初のおもちゃのような受け止められ方から社会的な存在に育っていく過程を体験してきました。起業当時、思い描いていた方向に進んできていると感じています」

 ドローンの機体の設計・製造、販売からオペレーター育成まで一括で手掛けている。東日本大震災後、NTT東日本から依頼を受け、災害時に電柱ごと流された電話線や光ケーブルをドローンで向こう岸まで運び、仮復旧線の役割を果たしたことで一躍脚光を集めた。「これはどこよりも早くドローンが現場で活躍した事例だと思います」

 このほか、損保ジャパン日本興亜の依頼で実施した災害による建物損壊状況の調査では、通常1カ月以上かかる保険金の支払いを約1週間に短縮。栃木県警では雪山の遭難者発見につながったケースもあるという。成功事例を重ねることで、日本を代表するトップ企業から次々と声がかかり、活躍の舞台はどんどん広がっている。

 海上保安庁のパイロットからの転身はユニークと映るが、「本物の飛行機もドローンも空を飛ぶことでは一緒。ドローンに自分の体は乗っていなくても魂は乗せています。それと、空を飛ぶことで人のためになる仕事に変わりはありません」と笑顔で言い切る。

 新たな10年のスタートとなる今年を「熟成の年」と位置づける。「新分野の開拓より、農業や建設など既存の地場産業を効率化する方向で熟成させていきたいですね。ドローンの活用により、これまで10日かかっていた仕事を半日でできるようにしたい。もっと簡単に、もっと安くが進むべき方向だと考えています」