「お客様価値」をデザイン

 

 「米菓」と「和菓子」のメーカーであると同時に、「流通卸」と「店舗」の二つの販売チャネルを持っている、とした上で、まずはメーカーであって小売業ではないと強調する。「お菓子は健康や美容のためには食べないほうがいいと言えます。それでも食べていただけるのは、『美味(おい)しい』という喜びを感じていただけるから。私たちは罪悪感を捨てて食べていただける商品を開発していかなければなりません」。その提供のためにこそ店舗があるとする。

 2023年に創業100周年を迎える。20年中に中期経営計画の目標が達成できる見込みとなったため、100周年に向けて新たな経営計画の策定に入った。「数字を追求するだけでなく、お客様の立場からみて、当社が存在するメリットをしっかりデザインしたいと思っています」と決意を新たにする。業界の環境については「お客様である小売業が、店舗増から既存店舗重視へと移行した結果、私たちメーカーは、大手と中小の役割が明確に分岐してきました」と分析。大手が価格抑制で価値を提供するのに対し、「私たちは少し高く、量が少なめだけどしっかり美味しいことを追求していきます」と立ち位置の違いを語る。

 消費者の意識は「もの」から「こと、とき」に変化している。これに対応するため、今年4月、小山店をスクラップ&ビルドして再出発する。豊かな時間を過ごしてもらうため、専門のデザイナーによるテラスとガーデンを設けた。作りたてを提供する『できたてキッチン』も栃木店からさらに充実を図った。

 店舗のコンセプトコピーを『ときのテラス』とした。「令和にふさわしく、万葉の時代の風を五感で感じてほしい」と願う。こうした変化に加え、将来は「流通卸」と「店舗」に加え、三つ目の販売チャネルが必要になると見通し、それを見極める新たな時代に入ったと気を引き締める。