「頼られる企業」目指す

 

 「前回の東京五輪後、日本がガラリと変わったように、来年以降の日本は大きく変化するのではないでしょうか」。こうした思いから、五輪後を見据えて基礎を洗い直した2019年だった。働き方改革に伴い作業効率を見直し、多能工化を進める一方で、新たな展開として防災グッズの販売を開始した。「ミウラ折り」という特殊な加工を施した段ボールをマジックテープで留めるだけで、簡単に一人分のスペースを確保できる「アコーディオンブース」は、完成した際、側面が波型になることで効果的に防音、防寒ができると好評だ。

 文化芸術や地元のために活動する人を紹介する同社発行の季刊誌「しもつけの心」は14年目を迎え、2年前に宇都宮の街なかにオープンした「Cafe ink Blue」とのコラボも計画中という。「印刷物を作るだけでなく、誌面で紹介した方の講演会を開催することで、立体的に皆さんと会う場所を設定するなど、コミュニティーを広げるお手伝いもしていきたいですね」

 印刷会社は、設備の有無により自社内でできることには限りがある。そのため業界の外注比率は必然的に高くなり、約20~30%と言われている。そうした中、同社の外注比率はわずか数%に抑えられており、ほとんどの印刷や加工を自社内で完結できるのが強みとなっている。当然、設備が備わっているからこそ可能になることだが、「印刷業は製造業であると同時にサービス業でもある」との考えの下、「人ができることに焦点を当て、地元の企業だからできることを皆さんに還元し、『困った時の井上さん』と言ってもらえる会社になっていきたい」と展望する。

 「紙媒体を通してたくさんの人を幸せにしたり、豊かな人生を送ってもらうようにすることが私たちの使命。その志は変えず、自分たちの仕事に自信と誇りを持ち、おごらず、できることを着実にやっていきたいです」