名も無き人たちに勇気を

 

 リサイクルショップ創業から30年の節目の年となった昨年、主力商品であるトラクターやコンバインがずらりと並ぶ鹿沼店の近くに、やはりコンバインを多くそろえた屋根付の「第2展示場」を新設した。20~30年前に国内で製造された農機を全国の農家から仕入れ、修理・整備を施した上で北海道から沖縄まで全国の農家に販売しており、現在の取り扱いは毎月約150台に上る。「腕の良い整備士6人と板金塗装の職人を抱えているのがうちの強みですが、それでも手が回らないほどの忙しさです」と柔らかな笑みを見せる。

 「会社のもうけは世の中に還元しろ」がモットーで、東日本大震災の被災地支援や青少年育成などのボランティア活動にも力を注いでいる。活動の重要な舞台となっているのが「四毛作」で68種類の野菜を栽培している自社農場だ。震災直後から、そこで採れた季節の野菜を被災地に届け続けているが、活動はそれだけではない。

 「来る者は拒まず」で受け入れている自社農場のスタッフには引きこもりや不登校の経験者が多く、野菜作りを通して彼らの社会復帰を支援している。昨年、知人の依頼で受け入れた40代の男性は、中学時代にいじめに遭ったことが原因で25年間も引きこもっていたという。「ある日、彼が野菜の周りの草むしりを熱心にやっていたので声を掛けると『野菜が喜んでくれているように思えて』と答えました。その言葉を聞き、心根の優しい彼は絶対にいつか社会復帰できると確信しました」と、慈愛にあふれたまなざしで語る。

 震災から10年となる来年をめどに被災地の復興支援の拠点となる物流センターの開設を目指しており、今年は「土台作りの大切な一年」と自らに気合いを入れる。「僕のような名も無き人間が応援の旗を振り続けることで、必死で頑張っている名も無き人たちに勇気を与えられるかもしれない。そう信じて今年もやるべきことをやっていきます」