消えぬ寂しさ、愛情記す 12冊目の遺族手記集を発行 被害者支援センターとちぎ

 事件事故の被害者を支援する「被害者支援センターとちぎ」(宇都宮市桜4丁目)は2日までに、遺族の手記集「証(あかし)」を発行した。被害者支援への理解を深めてもらうことなどを目的に作成され、今回で12冊目。事件事故で肉親を失った被害者10人が、もう会うことのできない家族への寂しさや、今も消えることのない愛情をつづっている。

 小山市の国道で2012年1月、乗用車にはねられ亡くなった宇都宮大1年、水村隆太郎(みずむらりゅうたろう)さん=当時(20)=の母幸子(さちこ)さん(54)。「終わらない裁判」と題した手記では、事故発生時から約6年の月日が経過しても刑事裁判が終結しないもどかしさを明かした。

 事故をめぐり自動車運転過失致死罪に問われた男性について、一審宇都宮地裁栃木支部が無罪判決を言い渡したが、二審東京高裁は有罪と判断。最高裁は審理を差し戻し、高裁が改めて有罪とするなど、裁判は異例の展開をたどった。

 「裁判がある度に、息子にむごい死に方をさせてしまった現実が突き付けられ、親としてふがいなさを思い知らされます」。水村さんは被害者として裁判に臨む苦しみをこう記した。

 ことし3月末に最高裁への上告が棄却され、執行猶予付きの有罪判決が確定した。幸子さんは下野新聞社の取材に「事故の加害者には、1人の命を奪ってしまったことにしっかり向き合ってもらいたい」と願う。

 飲酒・居眠り運転のトラック運転手による事故で長女由佳(ゆか)さん=同(19)=を失った遺族でもある同センターの和気(わき)みち子(こ)事務局長は「手記を通じて、被害者を生まないために何ができるか考えるきっかけになれば」と訴える。

 「証」は全国の企業や学校で、研修などの教材に使用されているという。12冊目は約3千部作成した。

 (問)同センター028・623・6600。