30日で店じまいする加持さん。奥には地元客からの感謝の張り紙があった

閉店する「細堀ホルモン道場」。赤ちょうちんが地域にともり続けた

30日で店じまいする加持さん。奥には地元客からの感謝の張り紙があった 閉店する「細堀ホルモン道場」。赤ちょうちんが地域にともり続けた

 栃木県足利市助戸仲町の老舗「細堀(ほそぼり)ホルモン道場」が30日の営業を最後に店じまいする。昭和の高度経済成長期を支え、平成、令和と3時代にわたり客を迎えてきた店が惜しまれながら半世紀余の歴史に幕を下ろす。

 最後の営業日まで1週間を切った23日夕方。慣れ親しんだ20席ほどの店内で、店主加持徳子(かもちとくこ)さん(76)は「『あれ、もう終わるのか』という感じ。寂しい気もするね」と漏らした。

 母細堀ハツヨさんが店を開いたのが1960年ごろ。徳子さんは当初、忙しい週末に手伝うだけだったが混み合った店の様子を覚えている。「昔の人はパアッと飲んで、すぐに出てった。『今日は3軒目』なんてお客さんもいた」

 助戸地区の旧道沿い。周囲は薬局、写真店、花屋、精肉店などが建ち並び、商店街で何でも買えた。「最も混んでいたのは昭和の時代。郊外の人はここに来るとき、『銀座へ行く』って言っていたぐらい」。街も店も人であふれていた。

 ハツヨさんが衰えを感じるようになり84年、徳子さんが店を継いだ。仕込みや油だらけの焼き器の片付けなどの重労働。95年に87歳で亡くなった母を「5人きょうだいを育てた働き者。お客さんに愛された」と振り返る。

 その後も母の時代からの常連、友人に連れられた初めての客…。「道場」はどんな客も受け入れてきた。だが徳子さんも「目の具合が悪くて」と店じまいを決心した。

 閉店が近づくにつれ、昼夜連続で予約客が入る日も。店内は思い出話に花が咲く。なじみの女性客からは手紙ももらった。「お客さんには感謝のしっ放し」。今は最後まで営業に集中し、閉店後は母の墓前に報告するつもりだ。