避難所の職員に頭を下げ退所する避難者=21日午後5時、栃木市薗部町2丁目

 台風19号の本県接近に伴い栃木市が同市薗部町2丁目の市とちぎ西部生きがいセンター内に開設していた避難所で21日、最後の避難者となった4世帯8人が退所した。「安心して正月を迎えられる」「これからの生活が心配」。避難者たちは安堵(あんど)と不安の気持ちを胸に、2カ月以上過ごした避難所を後にした。ピーク時には、県内25市町384カ所の避難所に約2万3千人が身を寄せたが、県内全ての避難所が閉鎖された。

 「長い間お世話になりました」

 避難所開設から71日目の21日夕、避難所での日用品などの片付けを終えた避難者たちは受け付けの市職員に頭を下げ、帰路に就いた。

 同市柳橋町、福田雅夫(ふくだまさお)さん(82)は「気持ちが楽になり、元気が湧いてきました」と喜んだ。福田さんは自宅が約80センチ床上浸水し、妻と近所に住む妹とともに避難。「大変だったが、弁当も風呂もあったし十分な暮らしでした」と振り返る。

 自宅は年明けに取り壊し、新築する予定。それまでは県営住宅などに身を寄せるという。福田さんは「慣れない所で少し不安だが、うまく泳いでいきます」と話し「まずは帰って祝杯を挙げます」と前を向いた。

 一方、新生活に不安を感じる人もいる。同市柳橋町、40代の主婦女性は、避難した両親、兄とともに応急仮設住宅に引っ越す。「寝泊まりができてよかったが、これからが大変。両親は高齢だし、環境が変わってどう影響が出るのか」と心配した。

 同市には、最大で22カ所に2374人が避難した。同市は11月中旬に災害対応の特命班を設置し、避難者に住宅を紹介するなどの支援を行ってきた。今後は、避難所で長期間生活した市民に対し、訪問による健康状態調査などのケアも行っていく。

 県内では台風直撃後のピーク時には、25市町384カ所の避難所に約2万3千人が避難した。11月1日には足利、栃木、佐野、鹿沼、那須烏山の5市12カ所となり、132人が生活。同19日に佐野市、同21日に足利市で全ての避難所が閉鎖され、避難所が開設されているのは栃木市のみとなっていた。