「はやぶさ2の挑戦」と題し講演するJAXAの津田准教授=11日夜、宇都宮市文化会館

 小惑星りゅうぐうの地下物質採取に成功し、地球への帰途に就いている宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機はやぶさ2。計画責任者の津田雄一(つだゆういち)JAXA准教授は11日、宇都宮市で「はやぶさ2の挑戦」と題して講演し、三つのピンチを約600人のプロジェクトチームが一丸となって乗り越えた舞台裏を披露。成果を生かした「はやぶさ3」の実現にも意欲を示した。

 太陽系には約79万個の小惑星が確認されている。黒い小惑星と言われるりゅうぐうは「生命の原材料の炭素と水が存在する可能性があるため」はやぶさ2の目標天体に選ばれた。

 到着したのは2018年6月。人類の誰も知らなかった天体を目の当たりにした感想は「想像もしていなかった形」だった。地形を調査していくと「救いようのないでこぼこ」の現実を突き付けられる。着陸場所が見つからないという最初のピンチに陥った。

 「手ぶらで帰るわけにはいかない。何がなんでも着陸させなければならなかった」。着陸の仕方を変えるしかないと決断。たくさんの科学者と技術者が集まって作戦を練り、安全な場所を探すため「石を数えよう」と地道な作業に乗り出した。新しい着陸作戦は、当初計画より4カ月遅れの2月に始まった。

 だが降下直後、緊急事態に見舞われる。プログラムのミスで誤作動があり「通常なら着陸中止の場面」だった。しかし事前に繰り返していた厳しいトラブルの訓練を生かし、限られた時間で解決策を見つけ、着陸を成功させた。

 4月には衝突装置でりゅうぐう表面に人工クレーターを形成する実験にも成功。世界初となる地下物質採取に近づいたが、周辺に岩が降り積もる中での再着陸は、安全を最優先すると「ゼロではないが十分取れるか分からない」。

 ピンチを救ったのは、偶然だった。再着陸の目印となるボール投下に失敗した際、撮影した画像で新たに安全な場所が見つかる。「きっかけは運だったが、チームのみんなが一糸乱れず計画変更に向かった」。はやぶさ2は、地下物質が十分に噴出した場所に再着陸できた。

 津田准教授は「はやぶさ2が実現した技術は素晴らしい成果を上げた。それを生かす、はやぶさ3のような太陽系探査を考えていきたい」と強調した。