台風19号の記録的豪雨で堤防が決壊した秋山川=10月13日午前、佐野市赤坂町

 10月の台風19号の記録的豪雨で堤防が決壊した県管理の13河川のうち、4河川は氾濫防止などの改修工事を進めていたり、改修を予定していたことが13日までに、県への取材で分かった。県は氾濫のリスクを認識して対策を進めていたが、工事は多大な費用と時間がかかるため「早期に全てを整備できない」と、県の担当者は漏らす。一方で改修工事を終えた河川でも「想定外」の豪雨で堤防が決壊しており、台風19号は河川整備の課題を浮き彫りにした。

 県河川課や各土木事務所によると、4河川は荒川、黒川、秋山川、永野川。それぞれ川の圏域ごとの整備計画に基づき、改修の対象になっている。工事には護岸強化や川底の掘削、川幅の拡幅などがある。

 荒川は、決壊した3カ所(那須烏山市)の下流区間2キロで2014年から改修工事を始めており、23年以降に決壊箇所の区間で整備を進める予定だった。整備は、20年に1度の豪雨に耐えられる計画という。

 黒川も、16年度から始まった下流の思川の工事が完了次第、今回決壊した区間(壬生町)の改修を予定していた。秋山川は、決壊2カ所(佐野市)を含む約4キロの区間で、30年に1度の豪雨に耐えられるよう17年度から改修工事に取り掛かっていた。

 同課の担当者は「秋山川のように下流が国管理区間の場合、国の整備が終わらないと、県の工事はできない」と説明。河川整備は下流からが原則のため上流では工事を始めるまでに時間がかかるほか、河川全体の整備は長期間を要するという。費用もかかるため、優先順位を付けざるを得ない面もある。

 一方、永野川は、決壊した上流の2カ所(栃木市)を含む約4キロの区間を1997年度から整備。1カ所は既に整備が終わっていた。また4河川以外の蛇尾川は、約16キロの区間で2009年度に整備が終わっていたが、今回の台風で区間内にある大田原市内の堤防が決壊した。

 30年に1度や50年に1度規模の豪雨を想定した整備だったが、同課の担当者は「今回の台風は想定の規模を超えた」と話した。宇都宮大の池田裕一(いけだゆういち)教授(河川工学)は「気候変動が進めば、30から50年に1度の豪雨が20から30年に1度となるなど、河川の治水安全度が低下する可能性がある」と指摘している。