修復工事が終わった麹室で、麹菌の入った蒸し米をかき混ぜる蔵人たち(第一酒造提供)

 【佐野】台風19号で被害を受けた田島町の第一酒造(島田嘉紀(しまだよしのり)社長)で修復工事が完了し、例年より2カ月遅れで酒造りが始まった。11日も、酒造りを担う蔵人たちが、温度などにムラが出ないように、麹(こうじ)菌の入った蒸し米をかき混ぜる作業を行った。

 同社では、日本酒の元となる米麹を作る「麹室」に浸水した。麹室は日本酒の製造過程で最も厳しい衛生管理が求められるため、水に漬かった壁や床、断熱材を撤去し、修復する工事を実施。例年10月に始める酒造りを延期していた。

 今月上旬に工事を終え、9日に酒造りを開始した。11日に行われた作業は「製麹」とも呼ばれ、酒の質を左右する重要な工程という。

 今後は「酒母造り」「上槽」といった工程を経て酒を造り、タンクや瓶で貯蔵して熟成させるほか、一部は熟成前の「絞りたて」として来年1月下旬にも出荷する予定。絞りたては新鮮でフルーティーな風味が特徴という。

 島田社長(54)は「多くの心配の声をもらったことが私自身の心の支えになった。こうして酒造りを開始できたのは支えてくれた皆さんのおかげです」と話している。