【野木・小山・栃木】台風19号の発生後、渡良瀬遊水地を囲む4県の4市2町のうち上流側の野木町、小山、栃木両市でイノシシの捕獲や目撃が相次いでいる。特に遊水地に近い野木町では、台風通過後の1カ月間で15頭も捕獲した。前年までの通算捕獲頭数が1頭だったことからすれば、まさに異例の事態。一方、遊水地の下流側では捕獲、目撃とも報告がない。冠水でねぐらを失った遊水地のイノシシは、川沿いに北上して本県に広がったと推測される。

 10月13日に台風19号が通過し、渡良瀬遊水地はほぼ満水状態に冠水した。このため遊水地内に生息していたイノシシが一斉に堤防を越えたり河川敷に逃げたりした。その数は100頭以上と推測される。

 野木町内のわなの数は前年までと同じ3カ所。いずれも遊水地に近い場所にある。1日で5頭捕獲した日もあった。ほとんどが生後1年前後の幼獣で、同じわなに4頭同時に入っていたこともあったという。「いることは分かっていたが、まさかこんなに捕れるとは」。野木町産業課の真瀬英樹(ませひでき)課長補佐は驚きを隠せない。今後はわなの数を増やすという。

 小山市でも台風19号通過後の1カ月間で11頭捕獲した。ただ遊水地周辺にはわなを設置していないため、遊水地由来のイノシシではない。市農政課によると、「遊水地に近い普段いないところでの目撃情報が相次いでいる」という。

 栃木市では台風通過後から10月末までの捕獲頭数が、前年同期を10頭下回る86頭だった。遊水地に近い藤岡地区では1頭のみ。ただこれまでにあまり出没していなかった大平、藤岡地区での目撃情報が20件ほどある。同市農林整備課では「遊水地のすみかを失ったイノシシが川沿いに北上してきた可能性がある」としている。

 野生のイノシシは豚コレラウイルスを保有している可能性もあり、関係者は警戒している。

 一方、遊水地南側の茨城県古河市、埼玉県加須市、群馬県板倉町で同時期のイノシシ捕獲例はない。目撃情報も台風以前からほとんどなく、古河市の遊水地に隣接する古河ゴルフリンクスで「年に1、2回の目撃情報がある程度」(同市環境課)という。