台風19号で県内は宇都宮や足利、塩谷などの7市町が、災害時に高齢者や障害者など配慮が必要な人たちを受け入れる「福祉避難所」を開設していたことが2日までに、下野新聞社の取材で分かった。中には初めて開設した自治体もあった。一方、国は開設時に開設したことを公表するよう自治体に求めているが、公表したのは上三川と高根沢の2町にとどまった。非公表とした自治体からは「一般の避難者が殺到しかねない」との懸念が理由として挙がった。

 県内市町は公共施設のほか、社会福祉法人などと協定を結んで民間の福祉施設などを福祉避難所に指定している。今回の台風で福祉避難所を開設したのは宇都宮、足利、栃木、上三川、塩谷、高根沢、那須の7市町。いずれも台風が本県を直撃した10月12日に開設し、翌日の13日に閉鎖した。

 今回初めて設置した塩谷町は同11日に、指定する福祉施設と連携体制を確認。翌12日夕方ごろから要介護認定者らの避難があったため開設を決め、計10人を3カ所の福祉施設で受け入れた。同町担当者は「事前に連携を確認し、スムーズに開設できた」と振り返る。

 宇都宮市と足利市は一般の避難所の一部に、畳やマットを敷くなどして福祉避難所とした。

 一方、内閣府の「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」では福祉避難所を開設した際、住民らへの周知を求めているが、7市町のうち5市町は非公表だった。足利市の担当者は「避難所の開設情報は発信したが、福祉避難所として改めてアナウンスはしていない」。塩谷町の担当者は「施設の受け入れ人数に限りがあり、一般の人が直接施設に避難するのを防ぐため」と非公表の理由を明かした。

 上三川町と高根沢町はホームページなどで、福祉避難所の開設を公表した。上三川町は開設した1カ所で、最大58人が利用したという。同町の担当者は「定員を上回るなどのトラブルはなかった」と話した。

 佐野や鹿沼など18市町は福祉避難所を開設しなかった。各市町の担当者は「保健師が巡回したが、開設に至るケースがなかった」「長期的な避難ではなかったので見送った」などと説明した。