本県を代表する建築文化財と言えば、まず日光東照宮の陽明門が思い浮かぶ。このかけがえのない国宝が消えてしまったら、県民のショックはいかばかりか。仮にでも考えたくはない▼同様に沖縄にとってのシンボル的存在である首里城の火災から1カ月が過ぎた。猛火は記憶に新しく、人ごととは思えない。今なお続いているであろう沖縄の人たちの喪失感を思うと心が痛む▼元の姿を取り戻すには長い期間がかかりそうだが、ひと足早く“再建”する構想が急浮上している。日光市の東武ワールドスクウェアである▼世界遺産だけでも47点を展示する園内。首里城関係も一角を占めるものの、あるのは守礼門と門前の祭りの風景のみで、消失した正殿などはない。国内外からの要望を聞く中で優先順位は高くなかったが、火災を機に有力案になりつつある▼同園は世界の遺跡や建築物を守り伝えるのがテーマの一つ。根本幸央(ねもとゆきお)総支配人は「訪れた子どもが大きくなって、実物を見に行くきっかけになってくれれば」と話す。首里城は今後、沖縄県との協議など、具体化に向けて調整する▼先月、日光市で開かれた世界遺産サミットでも募金活動が展開された。同園には、ぜひ首里城案を実現させてほしい。全国からの来場者に、応援の気持ちを思い起こさせるシンボルになるはずだ。