夜間公開された孔子廟。まつられた孔子坐像、小野篁坐像も公開された

 「本物の出会い 栃木デスティネーションキャンペーン(DC)」に合わせてゴールデンウイーク(GW)に足利市昌平町の史跡足利学校で行われた夜の特別公開(4月28日~5月2日)で、参観者数は同学校事務所の予想の倍近い計3305人に上った。史跡構成建物の孔子廟(びょう)や県指定文化財の木造孔子坐像(ざぞう)、復元した方丈など、主要部分を本格的に夜間公開するのは初めて。国が「観光立国」を掲げて文化財の積極的な活用を目指す中、公開の仕方を工夫して文化財を観光誘客につなげた格好だ。

 過去の夜間公開は庭園での演奏会や、毎年2月に近くの鑁阿(ばんな)寺で行われる祭り「鎧年越(よろいとしこし)」に合わせて一部行われただけだった。今回は5日間にわたり午後6~9時に入場無料で主要部分をライトアップしたほか、市指定文化財の遺蹟(いせき)図書館前では孔子の一生を描いた大正時代の「幻燈(げんとう)ガラス」を投影するなどした。

 夜の参観者は4月29日が最も多く1009人。GWの昼間で最少だった5月6日の1109人に迫る人数だった。夜の最少は雨が降った同2日の265人。4月28~30日の3連休は一晩平均約860人が訪れた。

 学校事務所の大沢伸啓(おおさわのぶひろ)所長は「多くの人に来てもらいありがたい。市民にも普段と違う学校を見てもらえた」と話す。団体バスが5台ほど来た夜があったほか、家族連れの市民の参観も多かったという。幻燈ガラスは今回新たにナレーションを付け、「学校ならではの歴史を学ぶのに良かった」と手応えもあった。

 一方、史跡や文化財の夜間公開では昼間以上に文化財保護への備え、安全管理の徹底が求められる。通常は事務所職員が対応しているところ、期間中の夜は事務所職員3人に加え市観光振興課3人、市教委文化課1人、産業観光部の応援2人に加え、委託の警備員3人の計12人を配置した。その結果、夜間公開中に参観者のけがや建造物の傷などのトラブルはなかった。

 市観光振興課は約1年かけて学校事務所と協議するなど準備を進めてきた。板橋秀明(いたばしひであき)課長は「初めてでもあり、文化財を守るために万全を期した。市内全小学校にチラシを配り、市民への周知も図った」と振り返る。大沢所長は「不必要な場所へ不審な侵入がないか、足元が暗いので歩行が安全かなどの気配りは必要」とも話す。

 政府は観光などへ文化財の積極的な活用を目指し、今国会に文化財保護法改正案を提出した。夜間公開は法改正を前に、文化財が人を引きつけることを裏付けたといえそうだ。