長野市を流れる千曲川周辺は、台風19号で堤防が決壊し車両基地の新幹線が水没するなど、甚大な被害が出た。流域にはリンゴ畑が広がるが、収穫直前に泥水をかぶり、多くが出荷不能になった▼早く木から実を落とさないと、来年の生育に支障が出る。基地から目と鼻の先の小布施町が、町内の河川敷にある畑のボランティアを募っているのを知り、参加した▼畑の上に泥が30センチも積もり、実はふやけ、もぎるたびに大量の土ぼこりが舞った。それでも集まった800人が一斉に取りかかると、瞬く間に地面は赤いじゅうたんが敷き詰められたようになった▼対して、本県では農業関連の災害ボランティアが活発とは言い難い。今回の台風では10市町にセンターが設けられたが、支援の基本は家屋。農業は営利活動と見なされ、イチゴのハウスなどには手が及ばなかった▼全国でさまざまな支援活動を展開する被災地NGO協働センターの頼政良太(よりまさりょうた)代表(31)が本県入りした際、話をする機会があった。農業ボランティアを経験した人は大概その地のファンになり、2度3度と訪れるという▼「被災地や被災者は発想の転換をすべき。もっと『来てくれ』とメッセージを出すべきです」。協力してくれる人はいる。どう呼び掛け、受入態勢をつくるかが、台風が残した宿題の一つだろう。