日本芸術院は29日、芸術活動で優れた功績があったとして、宇都宮市出身のロシア文学者亀山郁夫(かめやまいくお)さん(70)ら7人を新会員に選んだと発表した。同院によると本県出身の会員は6人目で、71年ぶりの選出。12月15日付で萩生田光一(はぎうだこういち)文部科学相が発令する。

 亀山氏は宇都宮高を経て東京外国語大ロシア語学科卒。日本学術振興会特別研究員、同志社大助教授、東京外国語大教授、同大学長を務め、2013年から名古屋外国語大学長。毎日出版文化賞特別賞、大佛(おさらぎ)次郎(じろう)賞、ロシア文化の普及に貢献した外国人に贈られるプーシキン賞などを受賞している。

 ドストエフスキー研究で知られ、文体を深化させた新訳「カラマーゾフの兄弟」(全5巻)は大きな反響を呼んだ。「罪と罰」「悪霊」「白痴」などの翻訳でも成果を上げ、新たなドストエフスキーの世界を開いたことが高く評価された。

 本県出身のこれまでの会員は小堀鞆音(こぼりともと(日本画)、小杉放菴(こすぎほうあん)(洋画)、山本有三(やまもとゆうぞう)(小説)、豊道春海(ぶんどうしゅんかい)(書)、川島理一郎(かわしまりいちろう)(洋画)の5人で、いずれも故人。亀山さんは1948年の川島以来の選出となる。

 このほか歌舞伎俳優の坂東玉三郎(ばんどうたまさぶろう)さん(69)、作家の松浦寿輝(まつうらひさき)さん(65)、工芸家の春山文典(はるやまふみのり)さん(74)、書家の黒田賢一(くろだけんいち)さん(72)、詩人の荒川洋治(あらかわようじ)さん(70)、能楽囃子方(はやしかた)の亀井忠雄(かめいただお)さん(77)が選ばれた。会員は102人となる。