世界遺産の二条城では夏の朝、普段は非公開の庭の前で食べる予約制のおかゆ御膳が大人気だそうだ。日中はうだるように暑く観光客でごった返す京都で、静寂を味わうぜいたく。確かに足を運びたくなる▼城を所有する京都市は、客が充実した時間を過ごせるよう徹底的な改革を行った。そのかいあって、2017年度は大阪万博以来47年ぶりに入城者数が最多を更新した▼「日光の社寺」世界遺産登録20周年を記念したサミットで、文化財修理を手掛ける小西美術工藝社の社長デービッド・アトキンソンさんの講演を聞いた。英国出身の元金融マン。文化財と経済を絡めた内容が興味深い▼いわく、外国人観光客誘致を指すインバウンドの推進は、人口減少時代の日本経済を支えるだけでなく、足りない文化財保護費を捻出し継承するのにも欠かせない。だから文化財の活用が必要だと力説する▼二条城はかつて、大政奉還が行われた重要な場所に「大広間 Big room」と書かれていただけだったという。これでは、外国人ばかりか日本人でさえ歴史的背景も価値も分からず、誰かに行くよう薦めることもない▼会場を埋めた全国の世界遺産や観光関係者らから失笑が漏れたが、心当たりがあったのだろうか。県内でも観光客本位のサービスができているか、改めて考えたい。