「手を上げて、横断歩道を渡りましょう」。幼稚園や保育園に入ったばかりの子どもたちが事故に遭わないよう、大人から教えられることだが、これは何らかの規則に明記されているような決まり事ではないようだ▼警察庁によると、各都道府県で開かれる交通安全教室で、横断歩道で手を上げるよう指導するかどうかはばらばらだという。手を上げると車は必ず止まってくれる、と子どもたちが思い込んで安心する。それがかえって危険という指摘もあるからだ▼確かに日本では、横断歩道で車が止まってくれない。日本自動車連盟(JAF)が8月、全国の信号のない横断歩道94カ所で行った調査では、歩行者がいても8割超の車が一時停止しなかった▼これはマナー違反ではなく、「横断歩行者妨害」という道交法違反にあたる。本県は前年調査の一時停止率全国ワーストから脱却し、29位となったものの約13%で、全国平均に届かなかった▼日本では、あちこちの横断歩道で道交法違反が横行しているとも言える。それが背景にあるのか分からないが、日本の死亡事故は歩行中に起きることが多く、車対歩行者の死亡事故の7割は道路横断中に起きている▼死亡事故は年々減少しているが、日本は子どもたちが横断歩道で安心して手を上げられる交通環境ではないのかもしれない。