公園で行われた自然観察会。参加者は私有地の外側から植物を眺めた

 足利市迫間(はさま)町の迫間湿地に生息、自生する貴重な動植物を保護するために整備した迫間自然観察公園が、借地返還による規模縮小や外来植物の繁茂などで一部荒廃した状態になっている。さらに台風19号の直撃で泥が残留。今後も市民の自然観察や散策の場として存続できるのか、利用者などからは懸念の声が上がっている。

 「サクラタデが咲いてますね」。このほど開かれた市民団体「足利自然観察会」恒例の観察会には14人が参加した。本年度から園内の借地を土地所有者に返還。一部入れなくなったため、借地外周の農道などから眺めて植物の生育状況を確認するなど、約2時間散策した。

 湿地を代表するサクラタデをはじめ50種以上の植物を観察したが、過去に見られたイトハコベやタチスミレなどの希少種は確認できなかった。一方でアレチウリやオオブタクサなどの外来種やつる植物が繁茂。湿地の乾燥化や植生の変化がみられ、管理の不十分さも目に付いた。以前から参加している利保町の主婦(70)は「見られる花も場所も少なくなっていて寂しい」と漏らした。

 迫間湿地には計500種以上の草花や樹木に加え、鳥や昆虫も生息する。市は1995年、動植物の保護と住民の利用のため、湿地と東側にある多田木山の一帯約14・7ヘクタールで公園の整備計画を策定。99年から湿地内の私有地を借りて整備に着手し、展望台や休憩所、芝生広場や園路となる木道などを設置し、2003年に供用を始めた。

 観賞を楽しむ地元住民を中心に使われてきたが、近年は湿地内を巡る木道が老朽化。市は15年度に一部改修したが、腐食が激しく本年度に解体した。

 市は借地の所有者との契約が満了する今年3月をめどに公園規模の維持を目指して土地取得交渉を図ったが、合意には至らず4月に公園西側の約5ヘクタールを返還した。現在は東側の多田木山や芝生広場などを利用でき、管理は市の外郭団体が継続して21年度まで担う。

 そんな中、台風19号の直撃で公園内が冠水。泥が残った状態が続いている。

 園内の動植物を約14年間見守ってきた足利自然観察会。観察範囲は縮小し、今後の活動の在り方に頭を悩ませている。「好んでここに来る人たちもいるし、せめて現状は保ってほしい。公園をいつまで使えるのかも分からないが、観察会は続けていきたい」と話す同会の椎名英夫(しいなひでお)さん(73)。

 市市街地整備課は「今後も現在の規模を維持していきたい」としているが、そのためには最低限の管理は不可欠。貴重な自然環境を残すには、外来種や泥の除去など早急な対応が求められる。