大量の泥がたまった佐野市吉沢記念美術館の池=18日、同市葛生東1丁目

大きな被害を受け、長期休館中の佐野市吉沢記念美術館=18日、同市葛生東1丁目

塚田歴史伝説館は音響設備が水に漬かりロボット人形の蔵芝居が上演できなくなった=15日午後、栃木市倭町

土砂が流れ込んできた佐野市立吉澤記念美術館美術館の裏口。土砂が積もり、壁の線まで水があふれた=18日、佐野市葛生東1丁目

大量の泥がたまった佐野市吉沢記念美術館の池=18日、同市葛生東1丁目 大きな被害を受け、長期休館中の佐野市吉沢記念美術館=18日、同市葛生東1丁目 塚田歴史伝説館は音響設備が水に漬かりロボット人形の蔵芝居が上演できなくなった=15日午後、栃木市倭町 土砂が流れ込んできた佐野市立吉澤記念美術館美術館の裏口。土砂が積もり、壁の線まで水があふれた=18日、佐野市葛生東1丁目

 台風19号は県内の文化施設にも深い爪痕を残した。県博物館協会に加盟する施設の中には、被災から1カ月以上たっても再開のめどが立たない美術館がある。何とか再開した施設も設備修復の負担などに頭を抱えている。

 国の重要文化財である伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)「菜蟲譜(さいちゅうふ)」を収蔵する佐野市吉沢記念美術館は、東側を流れる小曽戸(おそど)川があふれた影響で事務室などが床上浸水する被害を受けた。収蔵品に被害はなかったものの、現在も休館中だ。土砂の撤去など復旧に時間がかかるため、再開のめどは立っていない。

 台風が本県を直撃した10月12日夜7時半くらいに様子を見に来たという関口一也(せきぐちかずや)館長は「北東にある小さな橋が流木などでせき止められ、館の周りを水がうずまいていた。外は30センチほどの高さで濁流が流れていて、命の危険を感じた」と振り返る。

 1カ月以上過ぎても、同館正面の水が抜かれた池には茶色の泥がたまり、北側のアスファルトには30~40センチの土砂が堆積。止めてあった公用車はタイヤ半分が埋まったままの状態だ。

 床上浸水したのは収蔵庫前室と機械室の一部、美術館東側と廊下でつながっている地域交流センター棟。カーペットの交換や床の洗浄、ワックス掛けなどに加え、全館の薫蒸消毒を行う必要があるが「年内は薫蒸業者のスケジュールが空かず、再開時期はまだ見通せない」と関口館長は話す。

 10月19日開幕予定だった企画展「創る女たち」は延期せざるを得ず「展示作業も終わり、開幕を待つばかりだった」と学芸員の末武(すえたけ)さとみさんは残念がる。2002年6月の開館時から勤務する末武さんにとって、今回のようなケースは初めて。「幸い収蔵庫は土のうのおかげで無事だったが、今後の対策を講じる必要性を感じた」と気を引き締めている。

 木材回漕(かいそう)問屋だった当時を伝え、明治後期から大正初期の蔵など8件が国の登録有形文化財になっている栃木市倭町の塚田歴史伝説館。目の前の巴波(うずま)川があふれ、約3千平方メートルの敷地が膝の高さくらいまで水に漬かった。

 営業再開にはこぎ着けたが、音響設備などが水に漬かったため、ロボット人形が人柱伝説を語る人気の蔵芝居は上演できないまま。被災前から予定している蔵のふき替え工事に合わせて直したい考えだが、修理の負担が重く、塚田幸市(つかだこういち)副館長は「見通しは立っていない」と被害の大きさを嘆いた。