タクシーの車内に飾った花を眺める守利さん26年間、妻のシズ子さんが用意してくれている=21日夜、宇都宮市内

守利さんがタクシー内に飾っていた花の写真

タクシーの車内に飾った花を眺める守利さん26年間、妻のシズ子さんが用意してくれている=21日夜、宇都宮市内 守利さんがタクシー内に飾っていた花の写真

 タクシーのドリンクホルダーに飾られた花々が乗客を迎える。個人タクシーを営む宇都宮市板戸町、福田守利(ふくだもりとし)さんの車内。目を引くのは妻シズ子(こ)さんが毎日、日替わりで用意してくれる生花だ。「お客さんに喜ばれることをしよう」。個人タクシーを始めた時、シズ子さんが発案した。「26年間、1日も休まない。感心するよね」と守利さん。花を見て乗ってくれる客もいる。11月22日は「いい夫婦の日」。守利さんは「優しさは人一倍。自慢の家内です」と笑みを浮かべる。

 ガーベラやバラ、カスミソウ、サツキ、ミヤコワスレ…。色とりどりの花が、タクシー内のドリンクホルダーで咲き誇る。春夏秋冬、毎日の光景だ。

 守利さんは20代後半からタクシー会社に勤務し、1993年に個人タクシーを立ち上げた。「個人タクシーをやるなら変わったことをしよう」。シズ子さんが発案し、アレンジした花をタクシー内に飾るようになった。

 「最初は1週間か10日くらいで終わりだろうと思っていた」と守利さんは振り返る。しかしシズ子さんは毎日、花を用意してくれた。自宅の庭に咲いた花を使ったり花屋で購入したり。

 「そこまでやってくれるなら記録に残そう」。守利さんも毎日、車内に飾った花をフィルムカメラで撮り始めた。運転席からパチリと1枚。「3~4年撮り続けていた」という写真のアルバムは数十冊に上る。

 守利さんは午後、シズ子さんが用意してくれた花をタクシーに飾ってから出発する。客の反応はよく、「この花なんですか」と尋ねられる。経緯を話すと「奥さんによろしく」と言づてを頼まれることもある。客に喜ばれると自分もうれしくなる。

 守利さんは「いつも悪いな」と言葉を掛ける。「お父さんのためじゃないよ。お客さんのためにやっているんだよ」。シズ子さんは決まってそう言うという。

 結婚して50年以上がたつ。シズ子さんの花は客だけでなく、いつも守利さんも元気づけている。