ワインの新酒の季節がやって来た。ボージョレ・ヌーボーの今年の解禁は21日。県内でもさまざまな催しが企画されている▼足利市のココ・ファーム・ワイナリーでは先週末、出来たてワインが楽しめる収穫祭があった。今年で36回目。台風でブドウ畑の斜面が一部崩れ、土留めの跡が痛々しかったが、会場を埋めたファンの姿は復興への力強い応援になった▼国内最大の産地である山梨県は、甲州など主力2品種の新酒を「山梨ヌーボー」と名付け、11月3日に解禁している。近年は品質が向上し、国内外での評価も高い▼その山梨県でブドウ作りをしっかり学んだのが、市貝町の日下(くさか)篤(あつし)さん(36)。帰郷し、就農して4年目になる。ようやく木が育ってきて、今年採れたブドウは委託先で2千本のワインになる▼「素晴らしいブドウを作らなければ世界と肩を並べるおいしいワインはできない」と、栽培に主軸を置く。来年は今年の倍以上のワインを造る計画だ。3年後のワイナリー開業に向けた資金を調達するためにも「来年が勝負の年になる」と力を込める▼信念を胸に、強い目で将来を語る姿が印象的だった。全国でワイナリーの創業が相次ぐ中、生き残るには困難が待ち構えているだろう。壁を乗り越え、市貝町でいつの日か多くの人と新酒を祝えることを心待ちにしている。