日本三大名瀑の一つである奥日光の華厳の滝は、明治の中ごろまで容易に全景を見ることができなかったという。男体山側からほとばしる滝の上半分を見て、すさまじい瀑音を聴きながら全体を想像した▼日光市の中宮祠自治会長の小島喜美男(こじまきみお)さん(70)は「滝を正面から見られるようになったのは、山仕事などをなりわいにしていた星野五郎平(ほしのごろべい)の功績」と解説する▼既に60歳を超しながら「土地の誇りである華厳の大景観を世に知らしめたい」との志を立て、日光二荒山神社の許可を取得。独力で道を切り開き、7年かけて1900(明治33)年に開通させた▼新たな風景が出現したという点では、16日から始まった夜間のライトアップも同じである。初日は、日が落ちて滝つぼから川霧が立ち上り、影響が心配されたが、LED投光器の白い光が点灯されると、闇の中から荘厳で神秘性さえ感じる姿が浮かび上がった▼国立公園の中で最も厳しい規制がかかっている場所で、地域住民が40年ほど前から実施を環境省に要望していた。今回はあくまで試験実施で、周辺に生息するカモシカやコウモリなどの動物への影響を検証した上で本格実施を判断する▼地元の冬期活性化推進協議会は年度内を判断のめどとしている。新たな観光資源になるかどうか、落ち着かない日々が続きそうだ。