「配膳、誤嚥(ごえん)、褥瘡(じょくそう)…」。難しい日本語を繰り返す若い男女の元気な声に圧倒された。日本で働きたい理由を尋ねると「先端技術に触れたい」「アニメが好き」と答えはさまざまだ▼労働者派遣大国フィリピンで、介護人材の研修現場を取材した。人口1億人超のフィリピンの平均年齢は24歳。在外フィリピン人約1千万人の送金は、国内総生産(GDP)の約1割に相当し、経済成長を支えている▼日本の受け入れ枠は「2国間の経済連携協定(EPA)の介護福祉士候補」「介護留学生」「技能実習生」の三つだったが、今年から新在留資格「特定技能」が加わった▼労働者送り出しを監督する海外雇用庁の担当者は「技能実習生より給与が増える。日本語や技能の試験が課され、人材の質の向上が期待される」と特定技能制度を歓迎する▼研修担当の介護人材サポート企業の社会福祉士、福井淳一(ふくいじゅんいち)さんは「外国人は日本の介護を変える」と語る。フィリピン人を日本風の型にはめ込むのではなく、明るくてプレゼンテーションが得意といった強みを生かす。一時帰国の長期休暇が取れるようにする。そうした工夫ができなければ日本は働き先として選ばれなくなる、という▼日本社会が、多様な文化を受け入れる努力に加え、いっそう大胆な働き方改革を迫られていることを実感した。