本県の文化の殿堂たる県立図書館は建物の前が急勾配で、入館するのに息が上がる。半世紀近く前に建てられたとはいえ、高齢者や障害者に優しいとは言い難い▼事故で車いす生活になった宇都宮市の大塚訓平(おおつかくんぺい)さん(39)は、障害者用に手すりがあっても手が届かないような施設が県内に多々あるという。「造る時に当事者の意見を反映させたい」と6年前、NPO法人アクセシブル・ラボを設立した▼その大塚さんが「画期的」と話すのが、先の参院選における重度障害者2人の当選だ。社会に大きな一石を投じ、国会のバリアフリー化が一気に進んだ。先日、2人を当選に導いたれいわ新選組の山本太郎(やまもとたろう)代表の講演を聞いた▼街頭演説に聴衆が詰め掛けるほどの旋風を巻き起こした時の人だが「思ったより票が伸びなかった」と分析したのが印象的だった。いかに投票行動に結び付けるかが次なる課題だ▼代表は今、衆院選をにらみ、全国を行脚している。どの会場でも手応えを感じるという。いずれは本県も訪れるはず。草の根の支援を広げるため、どんな種を巻くのだろうか▼県内の身体障害者は約7万人。高齢化も進む。2人の当選をきっかけに、県内もバリアフリーを当事者目線で見直す必要がある。その先に、大塚さんの目指す「みんなが笑顔で楽しく外出できる社会」がある。