今も復旧できていない高齢者施設「かのん」。壁や床の改修を予定している=15日午前、鹿沼市口粟野

 台風19号による浸水被害の影響で、県内の高齢者施設4カ所が現在も復旧できていないことが15日までに、県などへの取材で分かった。入所者は他の施設に入所するなどしているが、慣れない場所での生活が続き「元の所に戻りたい」と漏らす人もいる。ただ浸水した床や壁の修理など大規模な修復が必要で、再開の見通しが立っていない施設もある。

 県などによると、台風の影響で、県内の高齢者施設16カ所が床上浸水の被害に遭った。復旧できていないのは鹿沼市や足利市、栃木市、壬生町内の特別養護老人ホームやグループホームなど。入所者らは一時的に他施設に入所したり、自宅へ戻ったりしている。

 「先が見えない部分が多く、明確な再開時期を(利用者へ)伝えられないのがつらい」

 鹿沼市口粟野の高齢者施設「かのん」の管理者増渕浩志(ますぶちひろし)さん(38)は、静まり返った施設内の一室でこう話した。台風が来る前までは机やいすが並び、利用者の話し声や笑い声が響いていた場所だ。

 室内は床上約1メートルが浸水した。台風が本県を直撃した10月12日夜、入所者や職員は2階に避難し無事だった。入所者は翌13日に同市内の複数の施設へ移り、現在は14人が8施設にいる。

 職員総出で施設内や駐車場の泥出しなどを行い、10月末に一通りの片付けを終えた。だが、壁や床に泥水が染み込んだため、壁紙の張り替えなどが必要。エレベーターはまだ修理のめどが立っていない。増渕さんは「(入所者らが)一日でも早く戻れる環境を整えたい」と話す。

 かのんから別の施設へ避難している女性(84)は「こんなに長くここにいると思わなかった。慣れてきたが、やっぱり元いた所に戻りたい」と話した。

 足利市大久保町の特別養護老人ホーム「おおくぼ」も床上浸水の被害に遭い、入所者26人が同市内の6施設に入居している。水に漬かった壁はゆがんだため、修復工事を予定している。各部屋にある介護用ベッドなども浸水したが、広範囲で台風の被害が出ている影響で、新しい物品がいつ届くかは不透明な状況という。職員は「早めの復旧を目指しているが、何カ月かかるか見通しが立たない」と声を落とした。