【日光】台風19号の本県直撃の際、市内で避難行動要支援者名簿の一部が自治会に行き渡らなかったり、情報が不十分だったりするケースがあった。道路状況の悪化により、紙の名簿が届けられなかったことなどが原因。自治会長からは「誰が誰を手助けすればいいのか、戸惑った」との声が上がる。市は名簿の運用を見直していく方針だ。

 名簿は、自力での避難が困難な高齢者などを把握するため、災害対策基本法で2014年度から各市町村に作成が義務付けられた。

 公開に同意する要支援者の氏名や住所、電話番号といった情報は平常時から消防や警察、自治会などに提供される。公開の同意がない要支援者の情報は避難準備情報が発令された後に関係機関に配布される。また、要支援者の避難を手伝う支援者情報は名簿作成時に確認するが、提供情報には含まれない。

 市内の要支援者は5156人(2018年度末時点)で、そのうち914人は公開の同意がない。市は避難準備情報の発令を受け、10月12日午後から市職員が自治会長宅を回って紙の名簿の配布を試みたが、道路の冠水や風雨の強まりなどで、大沢、日光地区の一部と今市地区で、公開の同意がない要支援者の情報390人分を自治会に届けられなかった。自治会長の多くが高齢で、デジタル機器に不慣れな場合も考えられるため、電子メールなどでの配布は行っていないという。

 自治会長からは公開情報の拡大を求める声が上がる。鬼怒川温泉大原地区の温泉駅前自治会八木沢正則(やぎさわまさのり)自治会長(49)は「支援者情報を公開してもらえれば安否確認がしやすくなる」と話す。

 市の面積は全国で3番目の広さで要支援者は点在し、高齢化率は約35パーセント。公開情報の拡大は個人情報保護や法律上の問題もある。運用の改善について、大嶋一生(おおしまかずお)市長は10月25日の定例記者会見で「課題を一つ一つ解決しながら、いざという時に運用できるように努力したい」と述べた。