台風19号の記録的豪雨の影響で決壊した県管理の13河川のうち、7河川で洪水浸水想定区域の設定がないことが8日までに、県河川課への取材で分かった。水防法に基づく浸水想定区域の対象河川に指定されていないため。台風の被害を受け、国は対象河川を拡大する考えを示したが、市町が作成するハザードマップに反映されるまで時間を要するなどの課題もあるのが実情だ。

 国と都道府県は水防法に基づき、洪水で相当な損害を生ずる恐れがある河川を「洪水予報河川」もしくは「水位周知河川」に指定。この河川が氾濫した場合に想定される浸水区域と水深を公表する。

 県管理河川で、浸水想定区域が指定・公表されているのは田川や思川など計16河川。台風で決壊した県管理河川のうち、6河川では浸水想定があった。

 荒井川は、浸水想定区域のない河川の一つ。今回の台風の影響で、鹿沼市野尻の堤防が決壊した。台風の本県直撃から1カ月近くたつ7日、決壊現場には土のうが積まれ、濁流が流れ込んだ田んぼには、流木が残っていた。

 決壊箇所の上流に住む主婦(78)は「もっと手前で崩れたら、家はどうなっていたか…」と不安げな顔を見せる。「荒井川のハザードマップがあれば、もっと心構えができる」と本音を漏らした。

 今回の台風で、全国で小規模河川の氾濫が相次いだことを受け、国は浸水想定区域の対象河川の拡大を検討している。県の担当者は「県民の水防意識の高まりにもつながる。国の動きを注視して積極的に取り組みたい」と強調するが、「対象河川が増えると、(浸水想定区域の)公表まで何年か、かかるかもしれない」とも話した。

 国や県の浸水想定に基づいて、市町はハザードマップを作る。ある県内の市の担当者は「小規模河川を含めたハザードマップの作り直しは費用がかかるが、重要なこと」と受け止める。また「マップの作成とともに、拡大した対象河川の水位を(豪雨時などに)周知するシステム作りも必要」と指摘した。