復旧した岩崎整染の染色機械=5日午後、佐野市

被災した吉清染色の染色設備=5日午後、佐野市

復旧した岩崎整染の染色機械=5日午後、佐野市 被災した吉清染色の染色設備=5日午後、佐野市

 台風19号の直撃から間もなく1カ月が経過するが、被災した企業が数多くある中、佐野市の地場産業の一つでもある繊維関係企業の被害も深刻だ。一部操業にめどをつける企業がある半面、再開へなお時間がかかる企業のほか、販売業に業態を転換したり、廃業へ舵(かじ)を切ろうとしたりする動きも見られ、対応はさまざまだ。

 水がきれいなことから昔に比べ数が減ったとはいえ、秋山川沿いは染色など繊維関連業者が名を連ねる。

 岩崎整染(大町)は秋山川に流れ込む小河川があふれ、高さ約1・2メートルまで濁流が流れ込んだ。染色機、長さ約30メートルの仕上げ熱処理装置(ピンテンター)など設備が浸り、電気系統が損傷した。厚さ約30センチの泥を排出し、乾燥機などの修理が済んだのは今月4日だ。

 同社は医療関連製品が多く、衛生環境を取り戻す洗浄消毒を繰り返した。今週、試運転を始めるが、医療関連製品の衛生検査をクリアしなければならないという。岩崎稔(いわさきみのる)社長(46)は「医療関連はつながったが、他社に切り替えられた製品もある。どう取り戻すかはこれまで以上にどう頑張れるかだ」と力を込める。

 旗川があふれ、青木刺繍(ししゅう)(並木町)は3工場で刺繍機、裁断機などが泥水に漬かった。「古い機械があり、業者からは暗に買い替えを勧められたが、資金はない。顧客先の電子機器に詳しい人が助けてくれ、何とか動くまでになった。精度がどこまで出るかはこれから」と青木泰樹(あおきたいじゅ)専務(50)。12月の操業再開を目指す。

 のぼり旗やのれん製造の片柳染工場(大橋町)は工場と店舗が濁流に襲われた。約100平方メートルの工場は再開を断念し、がれきと共に取り壊した。片柳誠(かたやなぎまこと)社長(66)は「後継者もいないし、捺染(なっせん)は諦めた。店は借りていた家主に返し、製造を他の業者に任せて(被害を免れた)自宅で販売だけを行っていく」と話す。

 工業用マスクの中布を製造する吉清染色(天神町)は廃業の方向だ。吉田隆勝(よしだたかかつ)社長(67)は「染色機のモーターやボイラーなど設備をやられた。修理の見積もりを取ったが、とても費用対効果に合わなかった。後継者もいない」と、創業81年に幕を下ろす考えだ。