今日3日は「文化の日」。「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことが趣旨である▼その制定に「路傍の石」などを著した栃木市出身の文豪山本有三(やまもとゆうぞう)が、深く関わったことは意外に知られていない。大正から昭和にかけて活躍した小説家、劇作家の印象が強いが、政治家としても多くの功績を残した▼1947年の第1回参院選全国区で当選し、1期6年の任期中、国立国語研究所設置法や文化財保護法の成立など主に文化的な分野に関わった。その中でも文化の日は、有三の強い思いが反映されている▼栃木市のNPO法人山本有三記念会の大塚幸一(おおつかこういち)会長は「日本国憲法の記念日は施行日の5月3日となったが、有三は公布日の11月3日をなんとしても祝日として残すため大変な苦労を重ねた」と解説する▼制定後しばらくたつと「文化の日とは何か」という人々が増えたため、有三は60年に「文化の日が決まるまで」との題名で朝日新聞に寄稿した。その中で「戦争放棄などを盛り込んだ世界でも類例のない条文を持ち、これほど文化的な憲法はない」などと意義をつづっている▼戦前、11月3日は明治天皇の誕生日で「明治節」として祝日だった。最近、「明治の日」への改称を求める動きが出ている。憲法の精神と公布日の重要性を訴えた有三の思いとは相反するのではないか。