映画のタイトルでもある慰霊塔「島守の塔」。荒井退造や島田叡、多くの沖縄県職員を祭っている=沖縄県糸満市の平和祈念公園内(琉球新報社提供)

荒井退造

映画のタイトルでもある慰霊塔「島守の塔」。荒井退造や島田叡、多くの沖縄県職員を祭っている=沖縄県糸満市の平和祈念公園内(琉球新報社提供) 荒井退造

 下野新聞社を含む地方紙4社などは24日、太平洋戦争末期に沖縄県警察部長を務めた宇都宮市出身の荒井退造(あらいたいぞう)と、荒井と共に人々の救済に尽力した当時の島田叡(しまだあきら)沖縄県知事を描く映画「島守の塔」を製作すると発表した。映画は歴史ドラマ作品として主に2人の沖縄赴任後の姿を取り上げる。戦後75年の節目となる2020年の秋公開を予定して準備を進めており、沖縄の「島守」2人の生きざまを通し、平和を願う心の大切さを次世代へ問い掛ける。

 荒井は現在の宇都宮市上籠谷(かみこもりや)町出身、島田は神戸市須磨区出身の内務官僚。荒井は1943年に今の県警本部長に当たる警察部長として、島田は45年に知事として沖縄県に赴任し、軍民混在の戦場となった沖縄で最期まで行動を共にし、県民の疎開などに力を注いだ。

 本県ではここ数年、地域の草の根による荒井の顕彰活動が進み、沖縄、兵庫県の関係者との交流も盛んになりつつある。こうした機運を受け、下野新聞社や神戸新聞社、琉球新報社、沖縄タイムス社の地方紙4社と、兵庫県の地方テレビ局サンテレビジョンなどが今月5日、映画の製作委員会を発足した。

 監督は、報道写真家一ノ瀬泰造(いちのせたいぞう)を取り上げた「地雷を踏んだらサヨウナラ」などでメガホンを取った五十嵐(いがらし)匠(しょう)氏で、柏田道夫(かしわだみちお)氏と共同で脚本も担当。二宮尊徳(にのみやそんとく)の生涯を描いた「二宮金次郎」では、本県内で数多くロケを行っていた。配役、配給は調整、検討中。2020年4月のクランクインを予定し、劇場公開のほか、公民館など非劇場公開も検討する。

 元沖縄県副知事で、島田の顕彰に取り組む島田叡氏事跡顕彰期成会の嘉数昇明(かかずのりあき)会長が製作委員会委員長を務める。嘉数委員長は「県民の命を救うため懸命に努力された2人と県庁職員の姿は、今に通ずる公職の生きざまを問い掛けている。地元紙がスクラムを組んだ映画製作の意義は大きく、地域に根差した目線だからこそ説得力も生まれると思う」とコメントしている。