芋掘りを体験する小学1年の早矢香さん

司さん 早矢香が入学した仙台育英学園秀光中は創立して間もない学校で、高校のコーチが中学生も指導してくれました。仙台育英の選手は卒業後も競技を続ける人が多いため、「卓球が好き」「卓球を続けたい」という思いを育ててくれたと感じています。勉強は東北大の学生がサポートしてくれたのでありがたかったです。

美恵さん 私たちから見ると、早矢香はこれといった武器があるわけではないし、決して器用なタイプではありません。だからこそ徹底的に練習して、粘って勝つスタイルを確立していったんだと思います。

 中学生の頃、大会の行き帰りのバスで、仲間が寝ている中で早矢香は一人、卓球ノートにその日の反省などをみっちり書いていたそうです。コーチともプレーのことでけんかしていたみたいで、一目置いていただいていたようです。

司さん 高校卒業後は大学に進んでほしかったのですが、ライバルが数多くいるミキハウスに入ることになりました。最初は驚きましたが、卓球に没頭するなら環境としては間違いないと思い、こちらも本人の決断を応援しました。

早矢香さんの幼い頃の写真を眺めながら当時を振り返る司さん(右)と美恵さん

美恵さん 世界の舞台で戦う機会も増え、よく「鬼の平野」なんて言われていましたが、大会前になるとしょっちゅう具合が悪くなって頼ってきました。海外遠征中に泣きながら電話をかけてきたこともありました。ありきたりの言葉で励ましましたが、本人はよいストレス発散になったみたい。周りが思っているより案外弱いのかもしれません。

司さん 印象的なのは、やはりロンドン五輪でしょうか。直前にあばら骨を折って練習ができない時期もありましたが、仲間にご飯を作ってあげたりして気分転換していたようです。

美恵さん 現地で会った時、いつもは緊張しっ放しの早矢香が「早く試合がしたい」ととても楽しそうに話していたんです。表彰式が終わるとすぐに銀メダルを掛けてくれました。ずっしりしていて、オリンピックのメダルはこんなに重いんだと実感しました。

司さん 早矢香たちきょうだいは中学や高校で家を出てしまったので、子育てをしていた期間は短かったかもしれません。その中でも、子どもたちには一人の人間として向き合い、やりたいことに対して自分で決断させてきました。

美恵さん 大変なこともありましたが、子どもたちの試合を見に行くことも多く、たくさんの楽しみをもらいました。育児と仕事を両立するのは大変かもしれませんが、限られた時間の中でたくさん話したり、笑ったり、ぎゅっとしたりして、子どもとの時間を大切にしてほしいです。

 

●もっと聞きたい!

早矢香さんの好物

 手巻きすし、白玉団子

 きょうだいそろって手巻きすしが大好き。今でも家族が集まった時にはよく作っています。(美恵さん)

家族のエピソード

 早矢香たちが幼い頃は、わが家に卓球台はありませんでした。今は自宅に卓球台があるので、早矢香が帰省した時にたまに練習しますが、ボールの捉え方や跳び方に違いを感じ、トップ選手の卓球を体感しています。(司さん)