普段は観光客が街歩きを楽しむ巴波川沿いには、現在も災害ごみが積まれている

 【栃木】台風19号で約1万3800棟が浸水被害に遭った市は29日、市議会議員全員協議会を開き、災害1カ月間の応急対策に充てるため、計約4億1千万円の一般会計補正予算を専決処分したことを明らかにした。被災者への支援策については、追加の補正予算案を11月の臨時議会に提出する予定。永野川の堤防6カ所の決壊が、甚大な被害の要因となった。大川秀子(おおかわひでこ)市長は「堤防の原型復旧ではまた災害が起こるので、改良復旧を県に要望する」との方針を述べた。

 市は不測の事態に対応するため、15日に専決処分をした。床上、床下浸水の被害建物への消毒の業務委託料として約1億8千万円を計上。災害ごみ処理に関わる運搬など委託料として約1億1千万円、道路や橋、農業施設などの復旧にかかる測量業務委託料などに6千万円、小中学校校庭整地工事として約2千万円などをそれぞれ支出する。

 市危機管理課は同日までにまとめた被害状況を説明した。農業被害は146戸で被害総額は7億9430万円に上る。公的支援などを受ける際に必要な「罹災(りさい)証明書」は、4935件の申請があった。市は被災家屋8721件の調査を完了した。

 市指定の仮置き場に運べなかった災害ごみが「勝手仮置き場」と呼ばれる道路脇や空き地などに山積し、問題となっている。観光名所の巴波(うずま)川横の道路も同様の状況だ。市は巡回回収を続けているが、全てを年内に回収するのは難しい情勢という。橘唯弘(たちばなただひろ)生活環境部長は「何とか年内に終わらせたい」との意向を示した。

 災害ボランティアは28日現在で、541件の派遣要望が寄せられている。2821人がボランティアに従事したものの、作業完了は211件。慢性的な人手不足が続く。

 避難所は5カ所を開設しており、104人(60世帯)が不自由な生活を余儀なくされている。