地域のみこしなどが収められた「御神庫」の泥を流し出すボランティア=27日午後、宇都宮市東塙田1丁目

床下の泥かき出し、清掃に当たる記者(右)=27日午後、宇都宮市今泉2丁目

地域のみこしなどが収められた「御神庫」の泥を流し出すボランティア=27日午後、宇都宮市東塙田1丁目 床下の泥かき出し、清掃に当たる記者(右)=27日午後、宇都宮市今泉2丁目

 栃木県内に甚大な被害を及ぼした台風19号から2週間がたった27日、本紙記者が溢水(いっすい)した宇都宮市中心部の田川沿いで災害ボランティアに参加した。表面的には落ち着きを取り戻しつつあるようでも、爪痕はなお残る。ボランティアなどの支援が必要であっても、声を上げられない被災者の支援需要も垣間見えた。

 同市社会福祉協議会が運営する災害ボランティアセンター。1班8人の一員として、田川東に位置する同市今泉2丁目、八木田麗子(やぎたれいこ)さん(72)方の一軒家へ。

 2階建ての外壁の汚れは目立たず、道端の災害廃棄物の多くは収集済み。一見被害はうかがい知れないが、長靴のまま入ると、床板は剥がされ土が見えた。

 12日午後9時ごろ、床下収納から水が噴き出すとあっという間に水位は上がり、床上1メートル近くに。八木田さんは「長年住んできたが、田川があふれるなんて」。

 ボランティアの仕事は、川の水が染み込んだ床下の土をかき出すことだ。床下に入って体をくねらすようにしてシャベルを使い、土を集めた。

 前日に栃木市で作業した宇都宮市戸祭4丁目、教員駒田亜弥子(こまだあやこ)さん(36)は「宇都宮の被害はもう収まったような気がしていたけど、そんなことはないですね」と言った。

 終了時間の午後3時。泥のかき出しや浸水した家具の運び出しなど、約60人が二十数件をこなし、この日の仕事は一段落していた。

 実は「仕事は山積み」と思い込んでいただけに、拍子抜けした。「吸い上げられていない支援需要があるはず」と市社協担当者。市内の浸水被害は900件に迫るのに、支援の依頼はこれまでに160件余りにとどまるからだ。

 高齢者などの中にはボランティアによる支援を知らない人や、どこから手を付けていいか分からず声を上げられない人も多いとみられる。市社協は、柔軟な運営のため多くのボランティアを求める。一方、支援について近所の人の口づての情報浸透を促すほか、今後、直接声を掛けて回ることも想定する。

 県都に残る爪痕。必要な支援が必要な人に届き、その中でもボランティアが充足する状況を願った。