粟野川の氾濫で建物の基礎が流されて傾いた小磯菓子店=23日午前、鹿沼市

小磯菓子店の「双体道祖神まんじゅう」

粟野川の氾濫で建物の基礎が流されて傾いた小磯菓子店=23日午前、鹿沼市 小磯菓子店の「双体道祖神まんじゅう」

 台風19号は、栃木市や鹿沼市粟野地区などの市街地で河川が氾濫したため、長年地域で愛されてきた「銘菓」にも打撃を与えた。一部商品の販売を再開できる店舗がある中、移転しないと、再開不可能な菓子店もあり、被害は深刻だ。

 「双体道祖神まんじゅう」で知られる鹿沼市口粟野の小磯菓子店は、脇を流れる粟野川の護岸が決壊し、店舗・工場の基礎まで流され、傾いてしまった。包あん機や製あん機なども傾いて移動し、河川側の壁にもたれかかっている状態だ。

 道祖神は災難を遮る地域の守り神としてあがめられ、粟野地区には双体道祖神が数多く残されている。同店の「双体道祖神まんじゅう」は地域の守り神にちなみ、15年ほど前に誕生した。ヒット商品となり、2005年に商標登録し、08年の全国菓子大博覧会で同博覧会会長賞を受賞した。

 小磯郁夫(こいそいくお)社長は「もうこの建物は壊すしかない。ここでは再建できないので別の所に移らざるを得ない」と肩を落とす。

 4年前の関東・東北豪雨でも粟野川があふれ、高さ約80センチの浸水被害を受けた。その時は護岸が崩れなかったため、営業を再開できたが、同時に移転先の物件も見つけていた。しかし今回、その物件も高さ約1メートルまで浸水したという。

 小磯社長は「移転先の物件探しなど一から始めなければならない。営業の再開は半年先になるかもしれない。今度は絶対、水害を受けない所に移りたい」と声を振り絞り、後片付けを続ける。

 一方で再開に向けた動きも出ている。手作りかりんとうで有名な栃木市薗部町3丁目の金枡屋(かねますや)菓子店だ。増山剛(ましやまたけし)社長は「商品はかりんとうなど一部だが、25日から営業を再開したい」と話す。

 浸水した高さは約30センチ。店舗、工房、倉庫が泥で埋め尽くされた。倉庫の粉など原料をはじめ、包装資材、店舗のショーケースの多くが使えなくなった。

 増山社長は「私で9代目だが、こんな浸水は初めて。従業員も被災したため、多くの方に応援していただいた」と感謝しつつ、「引き続きお客さまにご愛顧いただけるよう、新たなスタートにしたい」と力を込める。